Amazon Primeであれば無料で読めるPrime Readingで読んだ本の概要と感想を記載します。
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今回は「ざっくり分かるファイナンス」という本を読んでみました。
概要
企業のファイナンスについて分かりやすく書いてある導入書になります。
企業の決算書で公開される賃借対照表、損益計算書、キャッシュフローについての説明から、企業の事業価値を見積もるための方法(WACCやFCF、NPVの説明と計算式など)を分かりやすく解説してくれています。
賃借対照表(バランスシート)は企業がどこからお金を集めて(右側)、それが今どういう形の資産になっているか(左側)を表しており、その時の企業の「調達と運用」の状態を表します。
損益計算書は企業の売上から原価等を引いていき最終的な利益が表されているシートで、ここでの利益が最終的にバランスシートに反映されます。
キャッシュフローは営業活動、投資活動、財務活動の3つがあり、それぞれのお金の出入りを表します。企業が自由に使えるお金をフリーキャッシュフロー(FCF)といいますが、簡易FCFは営業活動と投資活動のキャッシュフローの和で算出できます。
簡易FCF = 営業活動のCF + 投資活動のCF
会計とファイナンスの違いについても説明していて、会計は賃借対照表、損益計算書、キャッシュフローを扱い(過去~現在)、ファイナンスは企業が将来生み出すキャッシュフロー(未来)を扱うといった違いがあるようです。
ということで、ファイナンスは企業が将来生み出すFCFを現在価値に換算して企業価値を算出します。この企業価値を元にその企業への投資を判断に使ったりするようです。そのため、個人で株式投資する際の参考に出来たりもします。
FCF = 営業利益×(1-法人税率) + 減価償却費 – 設備投資 – 運転資金の増加額
※運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 購入債務
将来のFCFを現在価値に換算する際にはWACCを使います。企業が資金調達するには大きく銀行からお金を借りる(負債)か株式を発行(株主資本)します。負債と株主資本のコスト(利子)の加重平均がWACCになります。
企業価値を算出する計算式は以下のようになります。
WACC = D / (D + E) × (1 – 実行税率) × 負債コスト + E / (D+E) × 株主資本コスト
※D:負債、E:株主資本
事業価値 = FCF / (WACC – 成長率)
企業価値 = 事業価値 + 非事業価値
※非事業価値は現預金や遊休地など事業に関係ない資産になります
感想
財務諸表やWACCなどがどういった意味を持つか非常に分かりやすく解説してくれています。ただ、実際の財務諸表からどの項目を使って企業価値を具体的に算出していくかというところまでは触れていないので、そこはネットなどで調べながら算出していく必要がありました。
個人的にはこの本で学んだ内容をもとにネットでいろいろ調べて個人投資レベルの企業分析なら事足りるかと思います。ただ、企業価値から理論株価を求めるために将来のFCFを正確に見積もることが難しいので、あくまで財務諸表から定性的に投資判断の参考にするレベルにしかならなかったですが(^^;